丁寧な大騒ぎ

想いが今 クリアになっていく

Summer Vacationについて考えてみた

 こんにちは、はじめましての方もそうでない方もアクセスありがとうございます。そぱと申します。今回のテーマは、去年からじわりじわりとsumikaにハマってきているのですが、そのsumikaの歌うある一曲について。音楽的な話――たとえば、この音がいいとかこんなリズムの工夫が隠れているとかーーはせず、まあそういうことができるほど詳しくないという理由もありますが(笑)、この曲の世界について歌詞をもとにしてゆっくり考えてみたいと思います。

 

 このブログは実は『企画もの』で、お友達のゆこちゃんとの共同作成となっています。共同作成といってもふたりでひとつの記事を書くのではなく、テーマを決めてあとは自由に掘り下げるといったものです。わたしの突然の思い付きにノってくれたゆこちゃん、ありがとう!ということで、こちらはそぱver.となっています。よろしくお願いします。

 

 突然の思い付き、ではあるものの、キッカケは「推し活ソング」について考えてみたときのこと。

 

  

 じゃあゆっくり考える時間があればいいのよね、と思って、いつかやってみたかった歌詞の咀嚼を、最近ゆこちゃん発祥で流行った「共通テーマでブログを書くこと」(テーマはお手紙事情でした)に合わせてやってみたかったからなのです。単純にゆこちゃんがsumikaのことがとっても好きでわたしとウマが合うということもありますが!

 

 まずはじめに、歌詞と著作権についてはこちらのブログを参考にさせていただいています。もしなんらかの当方の不手際がある場合は恐れ入りますがご連絡ください。

 

 

 それではいってみましょう!まずは曲の紹介です。

 

 『Summer Vacation』は、sumikaが2017年に発売した1作目(!)アルバム『Familia』11曲目に収録されている曲です。作詞は片岡健太さん(Vo.)作曲は小川貴之さん(Key.)編曲はsumika名義となっています。YoutubeにMVがあります!ブログを読む前でも、読みながらでも、読んだ後でも、全部でもいつでも、ぜひチェックしてください!

 

 【前提】このブログの内容は、MVとはまったく関係していません。(なのでMVに引っ張られそうな初見の方は、聴きながら読む、或いは読み終えた後に聴くことをおすすめします。ごめんなさい!)

 


sumika / Summer Vacation【MUSIC VIDEO】

 

 

 タイトルコール、阿久津ゆりえさんだったんですね!昔読んでいた雑誌にモデルさんとして出ていらっしゃいました。

 

 

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心地よい熱さ

残るアスファルト

灯る街灯は

夜を始めた

 

 いいな、と思っているミズカさんと今夜デートをした。ミズカさんは瑞々しい花と書く。親御さんが願いを込めて付けた名の通り、美しい人だ。いいな、というのは控えめな嘘で本当は「かなり好きだな」と思っている。デートといってもそんなちゃんとしたものではなくて、その、夜ご飯(僕はまだディナーと呼べない)に誘ったら「じゃあ27日なら」と言ってくれて、それで今日はご飯に行ってきた。ひとりの帰り道は静かだ。綺麗に舗装されたアスファルトの道は、日中の熱を閉じ込めてじわりじわりと放出している。 道路脇の街灯が、空の色と相まってぼんやりする時間はもう過ぎたようだった。

 

心地良いはずさ

温いアイスティー

熱帯びたのは

君のせいだからさ

 

 家に帰ってきた。クーラーのない、安い賃貸アパートの二階の端の部屋。うっかり南向きにこだわって決めた今の家は、夏場は地獄だ。夜風にあたりたくて、窓を開けはなしにして床に座り込み、ポケットからケータイを取り出す。ホーム画面を見るがなんの通知も来ていなかった。いや、でももしかしたら何か来ているかもしれない。通知が来なかっただけで実際はメッセージが届いていることって、ある。あるある。一応ね、確認しよう。最寄り駅を出てすぐのコンビニで買ったアイスティーを袋から出して一口飲む。細かい氷がざくざくと音を立ててうるさい。

 「今日はありがとうございました!またご飯とか行きたいです(^^)」送った文章を読み返して、ああ、と声が出る。すぐに連絡しなくては、と思って帰りの電車の中で打ったLINE。すぐにと思っても乗車時間をフルに使ってしまったから、本当のところはすぐに打った文章ではない。それにしてもセンスなかったな。なんだよこれ。でも長文を打ちたくないし。結局ミズカさんからの返信は来てないし。ううう。

 帰宅して、なにもできずに床に座り込んでからかなり時間が経ってしまった。アイスティーの氷はもう形がほとんど見えない。今日着ていった服、趣味合わなかったかな。大丈夫だろうか。うっかりタメ語で喋った...…とかないよな。話は盛り上がったと思っているけど僕の思い込みだったら、なんて考えたくない。やめたやめた。こんなことを考えていても特に何かが変わるわけでもないし、意味がない。それより今日のミズカさんもかわいかったことを思い出してにやにやしていまう。白いブラウスが本当によく似合っていたなあ。そうだ、髪型もなんかいつもと違った。あれどうやってるんだろうな。似合ってますって言えばよかったかな。気持ち悪がられるかな。

 

会いたい気持ちは 昼の陽溜まりに

落として忘れて ほら、また寂しい

会いたい気持ちは 昼の陽溜まりに

置き忘れたフリして ほら、また寂しいだけだ

 

 はやくまたミズカさんに会いたい。会って話がしたい。僕の話なんかでよかったら、笑ってほしい。

 

狂おしいはずさ

君は言ったんだ

付き合ったらさ

「楽しいかもね」

 

 27日のことをまた思い出している。二人でご飯に行って二人だけの時間を過ごしたのはそのときが初めてだった。みんなで打ち上げに行ったときに一番奥に座るミズカさんを反対の端っこからこっそり見つめていたとか、窓から外を見下ろしたときにたまたまミズカさんが帰るところだったのを見かけたのとかそういうのはたくさんあったけど、ミズカさんが最初から最後まで僕の前だけに居るのは初めてだった。思い出すだけで肺のあたりで空気の大移動が始まってしまう。スウスウヒュウヒュウと僕の体の中で鳴っている。ミズカさんは何で僕にあんなことを言ったんだろう。心のざわざわが止まらなくてバランスがうまく保てない。僕と付き合ったら、楽しいと思ってもらえるんだろうか。僕はミズカさんといたらそれだけで楽しいと思うけど、僕だけが楽しいなんてそれは「楽しい」じゃない。

 

狂おしいはずさ

温いアイスティー

飲めば帰るだろ

僕は飲めなかった

 

 そもそも「楽しいかもね」ってなんだ?わからない。それになんで微笑んでくれたんだろう。微笑んだのか?あれは年上の余裕なのか?「えっあっはい...…!?」しか言えなかった僕、ほんとなにやってんだろうな。もっと自信があったらなあ。でもミズカさんに釣り合う男になるために、好きでもない女の子と練習のためが如く付き合うことができるほど器用に生きてきてないしな。食事と一緒に、と注文したアイスティーをなかなか飲み干すことができなかった。コンビニとは違って氷が大きくて、ストローもついてこなかった。グラスは結露が起きていた。

 

会いたい気持ちは 昼の陽溜まりに

落として忘れて ほら、また愛(かな)しい

逢いたい気持ちは 昼の陽溜まりに

置き忘れたフリして ほら、また寂しいだけだ

 

 はやくまたミズカさんに会いたい。会って話がしたい。ミズカさんの話ももっと聞きたい。でもそんなことを思うのは僕だけなのかもしれない。

 

夜は優しく

僕を包むよ

昼の僕より

大人にさせてしまうよ

 

大人になって

つかず離れず

温いくらいの

温度で僕ら

 

 LINEの返信はまだ来ない。もうすぐ日が変わる。終電には何本も余裕をもって別れたから家には着いただろう...…と思う。充電が切れて、そのままもう寝てしまっているかもしれないし、と都合良いことばかりを頭の中で巡らせては何度もLINEを開いてしまう。開いてはスワイプでページを消して、もう一度開く。こんな時間に僕がもう一通送ったらさすがにうるさいよな。昔そうやって失敗したことを思い出して慎重になる。

 もし僕がミズカさんと同い年とか、ミズカさんより年上だったら何かが違ったのだろうか。都合のいい存在だとしても、付き合えなくても、もっとミズカさんの傍にいれるのだろうか。もっとミズカさんの笑った顔を見たり、僕もミズカさんから求めてもらえる存在になれるのだろうか。今はミズカさんだけが大人だ。

 

大人になって

後悔をして

それを「あの頃」と

割り切って

懐かしむのかな

 

 そうかもしれない。それでもこのまま10月になるまで会えないのはイヤだ。未来のことはきっと「大人」の僕が何とかしてくれるはずだと信じ、僕はもう一度ケータイを開く。消音にしているはずなのになんだか体に近いところで鳴っている音がうるさい。コンビニで買ってきたアイスティーの氷はとうに溶けてしまった。立ち上がってカップを手に取り、残った水をシンクに流した。

 

 

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 このお話を書きながら、何度も何度も途中から別ルートを辿ってみたくなったり、1番と2番とで設定が変わっていっそのことパラレルワールドへ...…と逃げようとしたりもしました(笑)日本語の一つ一つを見て、なぜ〇〇ではなく◇◇という言い回しにしたのか、などと考えるのもやりたかったのですがさすがにとっ散らかりそうなのでやめました。

 

 あくまでこれはひとつのわたしの感じ取った見方なので、「ぜんっぜんちがう!」と思う人がいても不思議ではないですし、まったく同じ発想をした人がいるほうが怖いくらいだと思っています。歌詞をそのままなぞることももちろん大好きです。

 それでもわたしがこの形を取ったのは、sumikaがつくった世界観(それは例えば歌詞を作っているときの片岡さんの脳内であったり、MVであったり)と違っても、彼らはきっとひとつの答えを決めてそれだけを受け取ってほしいと思って歌っているわけではないと思っているからです。もしそうだとしたら歌という形にこだわる必要もないでしょうし。sumikaに限らず、どのアーティストもそうであってほしい。なのでわたしは、わたしの考えたことを書いてみました。おもしろがってもらえたら嬉しいです。

 

 

 さて、冒頭でも述べた通り、この企画にはゆこちゃんver.が存在します。Twitterのツイートにツリーとして繋げておきますので、ぜひそちらも読んでみてください。わたしもゆこちゃんがどんなブログを書いたか全くわからないのでワクワクしています!それでは!